地獄の返品女アザミ

思い出を食べて生きている

束縛男H ③

「束縛男H①」で書いた通りHは大変お喋りな男だったので、Hの付き合った女性6人のプロフィールから付き合った経緯まで全部聞かされていた。
全く興味がないので殆ど覚えていなかったけれど、適当に相槌を打っておけばHは満足そうだった。

中でも「別れざるを得ない状況で別れたことはあるけど、自分は振られたことがない」「別れた女性に連絡を取ったことはない。自分のプライド的にそれはあり得ない」との話はよく聞かされていた。

確かにプライドだけは高い男だったので、その話は本当だろう。
「振られたことがない」は都合のいい解釈をしてるんだろうとは思ったけどね。


ところで、ディズニーシーとミラコスタに行った時の話なんだけどさ。



〜 エピソード① 〜

ミラコスタに泊まると開演時間よりも15分早く入園で来るんだけど、どうする?」とHから前々日くらいに連絡が来た。

Hはもらえる特典はフルで活用したいタイプなのは知っていたけれど、私は朝一から夜まで楽しめるほど体力はないので「昼くらいの入園でいいんじゃないかな。前日も仕事で疲れてるでしょう」と柔らかく断りを入れた。
選択を委ねられたので、好きな回答をして良いと思ったんだ。

そうしたら15分前に入園することのメリットを延々と説明され、「こういうメリット全部捨てちゃうことになるんだけど、どうする?」と再度こちらに質問をしてきた。
なんだよその質問の仕方は...と思ったけれど、アザミは大人なので「私は昼からで良いと思うんだけど、Hさんが早く行きたいならそうしよう」と優しい回答をしたのに、どうやらそれでもダメらしい。

Hは私が早く行きたがっているという程が作りたかったのだ。

「僕は早くても遅くてもいいんだけど、折角なのにアザミちゃんは早く入園しなくていいの?」と食い下がられ、だから昼からが良いって言ってるだろ!と内心吠えたけれど、私は天使の心を持って「任せるよ」と震える指先で答えた。

そうしたらHはなんて言ったと思う?
「アザミちゃんは素直じゃないからね、早く行きたいなら素直にお願いしていいんだよ」と...
あの時は白目をむいてぶっ倒れてしまったよね。

どんだけチンケなプライドしてたらそんな返事になるんだよ!




〜 エピソード② 〜

パーク内で良い年こいてベタベタしてくるな。
「あーん」なんて以ての外だ。
飲み歩きしてる赤ワインのグラス(プラスチック)を小指を立てて持つんじゃない。



〜 エピソード③ 〜

Hはよく「自分には特別な力がある」などとスピリチュアルなことを抜かしていた。
この日は晴れたり曇ったり雨が降ったりしていたんだけどね、室内のショーを見る時に丁度曇天から雨が降り始めて、ショーが終わって室内から出る時にこれまたタイミングよく雨が上がって空が見えたんだ。

普通だったら「タイミングよかったね、ラッキー!」でお終いでしょう?

ここでもH節、「僕ってこういうことばっかりなんだよね。こういうショー(雨や雷などが降って最後は晴れる内容だった)の後、それが現実になっちゃうっていうか...」などと供述しており、こちらは「へー...」としか答えられない状況に追いやられてしまった。

ショーは300人くらい見てたんだけどね。

彼の自信と誇りに満ちた顔を見て、つくづく変わった奴だなと感心してしまった。



〜 エピソード④ 〜

ねえねえ、皆さま方はディズニーに遊びに来てミラコスタに泊まったらどこでご飯食べる?

私の感覚的には、ディズニーに来てミラコスタに泊まるなら夕飯はホテルのルームサービスかホテルについてるレストランで食べるんだ。
若しくはパーク内のレストランで食べても良いよね。



ちなみに私はカップ麺を食べました。
ミラコスタのホテルの部屋で、ラ王を食べました。
お腹が空いていたのでカップ麺のスープを飲もうとしたら「スープは飲んじゃダメ!塩分が沢山入っていて体に悪いんだよ!」と言ってトイレに捨てられてしまいました。

朝ごはんもカップ麺でした。
朝はカップヌードルでした。



私は何度も言ったんだよ、「私が出すから、レストランに行こう」って。
でもHは「年下の女の子にお金は出してもらえないよ〜」と言って取り合ってくれなかった。

他の日のデートを節約にしてでもね、この日はレストランに行くべきだったと思うんだ。(とは言えHとの普段のデートなんて、家で作る食材くらいしかかかってないけどさ)
ミラコスタカップ麺啜ることほど惨めなことって他にある?

あんまりの出来事だったんで隙を見てお母さんに電話で報告したら、信じられないくらい大爆笑してたよね。


Hは相当な健康オタクだった。
私は当時気分の良い時だけタバコを吸っていたんだけどもちろん辞めさせられたし、お酒も3、4杯で「これ以上は飲まないで!」と言われた。
タバコは笑えるくらい毛嫌いしていて、喫煙所があればかなり離れたところから息を止め、血走った目で走り抜けていた。
あれは多分、一種の強迫観念だったんだろうね。

でもさ。
だったらカップ麺なんか食わせんじゃないよ!
カップ麺にしたなら汁くらい飲ませろ、この唐変木!!



〜 エピソード⑤ 〜

もう一個質問なんですけど、初日にディズニーシーに行ったら、次の日は皆さま方ならどこに行く?
普通、ディズニーランドに行くよね。
でもシーでやり残したことがあったり、もう一度見たいショーとかがあればもう一回シーに行ってもいい。


ちなみにアザミは帰りました。


Hはミラコスタに泊まったら次の日もパーク内に入れると思っていたみたいなんだけど、当然チケットを持っていないんだからパーク内に入れないよね。
もう一枚買わなきゃいけない事がわかった瞬間、Hは突然クロベエさんの心配をしだして「今日はもう帰らなきゃ」と言い出した。

いやいや、クロベエさんは車で5分の実家に預けてきたじゃない。
第一クロベエさんだって元々実家に住んでたのを連れてきたんだから、今頃ご実家でノンビリしてるでしょ。

これ以上一緒にいるのも苦痛だったから良いんだけどさ。
その天晴れな浅ましさに、アザミは非常に救われた。


「この男は完全に私とは違う感覚の人間だ」と強く思った。

そしてHのことは変わった奴だという興味の対象から、今後二度と接点を持ちたくない人物となった。


Hと会ったのはこれで最後になる。


Hはその後も変わらず毎日メールを寄越していたけれど、私は完全に嫌になってしまっていたので無視をしていた。
それにもかかわらず、2週間くらい一方的なメッセージが続き、「僕の誕生日はアザミちゃんのプロデューす?」というメールで遂に私は降参した。
無視をされているのにもかかわらずメッセージを発信し続けられる精神力と、この状況で自分の誕生日を祝ってもらえると思って仕事を休むそのポジティブさに心底感服した。

完全に私負けだ。


「やっぱり千葉には行けません。荷物は捨ててください」とだけ送って、以降何も返信しなかった。
何か恨みがましいことを言われた気がするけれど、ここの部分の記憶がポッカリ消えており詳細を思い出せない。

その後Hは2年間ほど正月と誕生日に未練のあるメールを寄越したけれど、それ以降は何もアクションはなかった。
別れた女性に連絡をするのはプライドがうんちゃらと言っていただけあって、引き際は良かった。

初めての婚活でのお付合いはこれでお終い。


鳥の死骸事件とかゴディバ事件とか、Hについてはまだまだ言いたいエピソードが沢山あるけれど、一先ずこれくらいにしておく。

また機会があったら書くよ。

それじゃ!


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