地獄の返品女アザミ

思い出を食べて生きている

初めての恋人A

Aはけたたましい人物だった。

この時アザミは19歳、愛情と偽善の区別がつかないバカ者だった。


Aは私が望むことはなんでもしてくれた。
お腹が空けば食事を作ってくれたし、喧嘩をしたら花や小さなプレゼントが送られた。
気紛れでフレンチが食べたいと言えば、当時の2人に年齢とっては随分と背伸びをしたレストランに連れて行ってくれた。
若さ故の情緒不安定な私が電話をすれば、どんなに夜中でもバイクで飛んできた。

ここで私の「尽くされて当然」という価値観が構築されてしまったんだろうね。

Aの生活は退廃的で、大抵は窓際でタバコを吸い冷蔵庫にはビールと海洋深層水と乾燥ワカメしか入っていないような奴だった。
少し常識から外れた考えをべらんめえ調で話し、いつも飄々とした様子でいた。
そこがロクでもないところであり、Aの魅力でもあったと思う。

当然だけど、まあ良いとこばかりじゃないよね。
酒癖が悪かったり、本当は目立ちたがり屋だったり、上から目線のちょっとスカした喋り方は聞いていてみっともないなと思っていた。

確かにAにはとても世話になった。
病気で仕事に行けない時は衣食住の全てをAが世話していたし、それ以外もありとあらゆる方法で私を楽しませようとしてくれた。
Aには人に言えない弱みがあったので、そのせいもあって取分け私に優しかったのだろう。

当時は私を一番に考え愛してくれるのはAだと信じて疑わなかった。
だけど、酔った時にAが放った「こんなに貢いでやってるのに」という言葉で気が付いてしまった。
Aは「アザミのために生きる自分が好き」な部類の超マゾヒスト野郎だったんだよ!
貢いでやってる?そんな風に思っていた奴とつるんでいたなんて、自分はなんてバカ者なんだと本気で落ち込んだものだ。

以後簡単にまとめると、別れてまた付合ってまたまた別れて、二度と会いませんでしたとさ、お終い!


最後に会った時のエピソードだけ。
別れた後の話なんだけど、最後にデートがしたいってAから連絡が来た。あれは12月くらいだったな。
私は既に新しい恋人候補が2人いたんだけど、どちらにするか悩んでいたのと懐かしさも手伝って行くことにしたんだよね。
よく考えればわかることなんだけど、Aは寄りを戻す気で誘っており、それを食事の帰り道で伝えられた。
私は内心(参ったな、面倒だな)と思ったけれど、極力顔には出さずにもう心が離れているので戻る気はないことを伝えた。
そうしたらさ、Aったら「じゃあなぜ来たんだ」と怒って泣いて、プレゼントに買ってきたフルーツのバスケットを汐留駅のゴミ箱にダンクシュートしたの!
私フルーツって大好きだから、すごく勿体無くて...フルーツに罪はないのに、なんて酷い奴だと思ったよ。
でもなんかそのお怒りの様子が可笑しくて可笑しくて、笑いが止まらなくなっちゃってさ。
Aはそのまま怒り狂って電車に乗って帰ってしまった。
今思うとAも本当に災難だったよね。
何年も付合ってたくさん思い出があるはずなのに、Aを思い出そうとすると最初に浮かんでくるのはダンクされた哀れなフルーツたちの姿なんだ。
それがAとの最後だね!

Aと行ったバラ園の写真をどうぞ。


本日の教訓。
女に惚れている男なのか、女に尽くしてる自分に惚れてる男なのか、キチンと見極めないと後々痛い目にあうよ。
そういう男といると「不倫に燃える俺」とか「愛する恋人を置いて突然旅立つ俺」みたいな俺美学に付き合わされる羽目になるよ。
いつまで「女に尽くす俺」ブームが続くかなんてわからないからね!




今日はここまで。

それじゃ!

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